「僧帽弁閉鎖不全症」と診断されたら?

飼い主がすぐにとるべき5つの行動

  心臓病というのは、初期には表立った症状があらわれにくく、症状が出始めると一気に悪化してしまうことがあります。「心臓病」あるいは「僧帽弁閉鎖不全症」だと疑われる状態の時、またはすでに診断された時、飼い主はどう行動すればよいのでしょうか。
 
泣き崩れている時間はありません。飼い主がすべき行動を5つのカテゴリーにわけてご紹介します。

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行動① もしかして僧帽弁閉鎖不全症? 飼い主にできるチェック方法

1章で「僧帽弁閉鎖不全症」がなぜ起こり、どういう症状がみられるかをみてきました。ここではさらに詳しく「僧帽弁閉鎖不全症」の診断方法について解説します。ご自身の愛犬が「もしかして僧帽弁閉鎖不全症?」と不安に思っている飼い主がご自身でチェックできる方法です。一つひとつの症状を確認していきたいと思います。

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1 心雑音をチェックする
 私のところにいらっしゃる飼い主に、最初に気づいた症状を伺うと、たいていの方が「心雑音」とお答えになります。心臓の雑音は聴診器でなければ聞こえないのでは? と思われる方もいるかもしれません。
 
しかし、毎日愛情をもって愛犬を抱っこされている飼い主には、その音がはっきり聞こえるようです。飼い主によってその表現はさまざまです。
「ザーッ、ザーッ」「シャーッ、シャーッ」「ザザッ、ザー」などが、よくお話しいただく擬音です。
 
心雑音は、血液が正常に流れず逆流しているために聞こえる音です。医学の教科書的に表現すると、心臓の病気の種類によって心雑音の種類は異なります。「僧帽弁閉鎖不全症」では高音の「シャー」という音が特徴で、「肺動脈狭窄症」では「ザー」と聞こえることが多いといわれています。しかし、必ずしも飼い主にそのように聞こえるわけではないようです。
 
いずれにしても、抱っこしている時にいつもと違う心臓の音が聞こえた時には、必ず心拍数を測ってみてください。

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2 心拍数を測る
 1章の「不整脈」の項でもお話ししたように、成犬の1分間の心拍数は小型犬で60〜80回、大型犬で40〜50回が正常です。子犬は成犬の倍になり、220以下であれば問題ないといわれています。「僧帽弁閉鎖不全症」にかかる犬種は小型犬が多いので、1分で80回を上回るようであれば気をつける必要があります。
 
心拍数の測り方として一般的なのは、左胸の心臓の位置に手のひらか指先を当てて、1分間に何回鼓動を感じるか数える方法です。できるだけ安静時が望ましいので、しばらく抱っこをして落ち着いたところで計測しましょう。1分間が難しければ、15秒の脈を数え、4倍にしても結構です。
 
犬が寝転んでくつろいでいる時であれば、後ろ脚大腿部の付け根でも計ることができます。飼い主が計測しやすい方を選んでください。

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3 呼吸数を測る
 血液が全身に酸素を運んでいるため、心臓の血液の流れが悪くなり、全身を巡る血液が少なくなると、当然酸素不足が起こります。からだは慌てて「酸素をもっとください」と脳に要求します。すると、脳はすぐさま呼吸器に「もっと酸素を吸いなさい!」と命令を下すわけです。 
 
このために心臓の状態が悪くなってくると、呼吸数が上がります。普通、犬の呼吸数は小型犬で1分間に20回前後、大型犬では15回くらいです。30回を超えると異常のサイン、40回を超えた時は赤信号です。大至急、かかりつけの動物病院、夜間であれば緊急対応してくれる動物病院へ連絡をとってください。
 
呼吸は必ず安静時に測ります。理想は寝ている時、またはフセの姿勢でボーッとしている時です。スーハーという呼吸音を1セットとして数えます。音が聞こえにくい時は、胸が膨らむ回数で数えても構いません。
 
ただし、興奮した時や運動をしたあとに舌を出してハァハァと荒い呼吸をすることがありますが、これはパンティングという行動で問題ないケースがほとんどです。犬は人間と違って汗をかかないため、体温が上昇してしまった時に、たくさん息を吸い込むことで口の中や気道の水分を排出してからだを冷やそうとしているのです。
 
心臓病のハァハァと、パンティングの区別は、犬の姿勢をみるとわかります。パンティングの時は4本の脚で立っていることがほとんどですが、呼吸が苦しくてハアハアしている時は、たいていお座りの姿勢になります。呼吸がさらに荒くなってくると、横になることもつらくなります。お座りの状態でハァハァしている時は、すかさず呼吸数を数えましょう。
この時、からだをむやみに触らないでください。犬は自分にとって楽な姿勢をとろうとしています。苦しそうだからと、からだをさすったり抱き上げたりすることはやめましょう。
 
病気が進行している場合は、獣医師から酸素室をレンタルするように指示されることがあります。もし、酸素室の用意がない場所で呼吸困難を起こした時は、応急処置として登山用の携帯酸素缶を吸わせるといいでしょう。

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 4 食欲の変化はありませんか?

 人間でもそうですが、犬も体調が悪くなれば、たいてい食欲が落ちます。食欲減退とともに特徴的なのが偏食です。今まで大好きだったものを急に食べなくなり、他のものをあげるとよく食べる。しかしまた1〜2週間すると違うものを食べたがるといった傾向が多くみられます。体調の変化によって食欲のムラが起きているからだと思われますが、具体的な理由はわかりません。
 
この時に喜ぶからと、人の食べ物やおやつばかり与えるのは好ましくありません。どうしても食欲がない時は、かかりつけの動物病院の先生に相談して、さまざまなフードを試してみてください。また、食欲の変化とともに、急激に体重が落ちている場合は注意が必要です。

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5 被毛や皮膚の状態をチェックする

 人間でも血行が悪くなると、皮膚が乾燥してカサカサすることがあります。犬も必要な量の血液が流れないと、被毛がパサパサしてきます。犬種によってはゴワゴワした感じになることもあります。
 
また、時には脱毛がみられることもあります。特にお腹と背中に脱毛がみられることが多いようです。咳に加えて脱毛があるようであれば、心臓の状態はかなり悪化していると思っていいでしょう。筋肉も落ちてくるので、全体的に虚弱な外見になります。
 
皮膚に関しては、唇や舌、歯茎などの粘膜を確認してください。粘膜が青白くなる、または紫色にみえる状態であればチアノーゼを起こしている可能性があります。血液中の酸素量が極端に少なくなっている時にこの症状があらわれます。肺水腫をともなっている場合も多く、放っておけない状態だと考えられます。大至急、かかりつけの動物病院に連絡をとり、指示を仰いでください。

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6 散歩の様子を観察する

 心臓に負担がかかり始めると疲れやすくなります。言葉を話せれば「しんどいよ〜」「今日はお散歩お休みにして」と、飼い主に言いたいところなのでしょうが、多少具合が悪くても、飼い主に促されると散歩に出発してしまう健気な犬はたくさんいます。
 
この時、調子が悪かったことを知っている飼い主は、散歩に出たことで、「あら、元気になったわね」「今日は調子がいいのね」などと嬉しそうな声を愛犬にかけることがあるでしょう。
 
実はこれが落とし穴なのです。犬は飼い主が喜ぶことがいちばんの幸せです。ですから自分が少しぐらいしんどくても、飼い主の笑顔と嬉しそうな声を聞いてしまったら、嬉しそうにしっぽを振って散歩に同行してしまうのです。無理をしているわけではなく、それが犬にとっての幸せだからです。
 
さて、散歩に出たのはいいけれど、いつものペースで歩くのはつらい、途中でどうしても休みたくなって座り込んでしまう。これは、犬にとってはとてもピンチな状態なのです。なぜなら飼い主を悲しませてしまうからです。
 
もし、少しでも心臓病の疑いがあるのでしたら、散歩は極力短く、ゆっくりした速度で、途中立ち止まってしまうことがあれば、そこで散歩を中止にして抱いて帰ってあげてください。その時には「大丈夫?」「つらいね」などのマイナスな言葉かけではなく「がんばってくれてありがとう」「お散歩気持ちよかったね」などの前向きな声かけをしてあげてください。犬には飼い主の言葉の意味がわからなくても、声に含まれる思いは十分伝わるからです。
 
1から6をチェックして症状が当てはまるようでしたら、必ずかかりつけの動物病院の先生に相談してください。

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行動② 「僧帽弁閉鎖不全症」の適切な検査を受けましょう
 では「僧帽弁閉鎖不全症」の診断をするための検査にはどのようなものがあるのでしょうか。治療方針を決めるためにも検査はさまざまな角度から行う必要があります。少し専門的な話も出てきますが、適切な検査をしてもらえているか、飼い主が把握するためにぜひ一読してください。

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聴診とレントゲン検査でわかること
 心臓病の診断を最初にされたのが、定期検診という方も少なくないでしょう。心臓の異変は先にも述べた通り、心雑音という比較的発見されやすい所見から出始めます。ですから、定期検診にしろ、調子が悪くて受診したにしろ聴診器を胸に当てた時に獣医師が首を傾げたら、心雑音が聞こえている可能性があります。
 
ここで、獣医師は心拍数と呼吸数を測ると思いますが、診察室では興奮してしまうことや、緊張でドキドキしてしまうことが多く、正確な数値を測定しにくいことが多々あります。もし、自宅で心拍数や呼吸数を測っているようでしたら、ぜひ、獣医師にその値を伝えてください。診断の大きな助けになります。
 
聴診と問診が終わると、X線検査、いわゆるレントゲンを撮ることになります。レントゲンでは実際に心臓がどのくらいの大きさになっているか、変形していないか、肺水腫や胸水、腹水は起きていないかを調べます。「僧帽弁閉鎖不全症」の治療方針を決めるのに、レントゲン検査は欠かせません。
 
この段階で心臓病の可能性が高いと判断されると、超音波検査が必要になります。もし、超音波検査の設備がない動物病院であれば、必ず紹介状を書いてくれるはずです。心臓のどの部分に問題があるのかを確認するためには、超音波検査が欠かせないからです。超音波検査をスルーされてしまった時は、超音波で検査をしてほしいと飼い主から伝えましょう。
 
万が一、獣医師が「超音波は不要」と断言して聞き入れてくれなかったら、その時はとても残念ですが、セカンドオピニオンとして別の病院へ行くようにしてください。
 
飼い主にとって、信頼している獣医師に刃向かうようでとても心が痛む瞬間だと思います。でも、そこはかわいい愛犬のため、毅然とした態度をとることも大事だと思います。他の病院に行くと言いづらければ、検査の結果だけはいただいておきましょう。
 
「検査結果を手元においておきたいので、データとレントゲン写真をください」というような言い方をしてもいいと思います。とにかく早く適切な治療を開始するためにも正確な検査が必要なのです。

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超音波検査が優れている理由
 超音波検査はエコーとも呼ばれます。妊婦さんのお腹に当てて、赤ちゃんの様子をみる検査と同じです。レントゲンでは心臓の大きさと形と動きをチェックしますが、超音波では心臓の中を詳細にみることができます。
 
「僧帽弁閉鎖不全症」の問題点である僧帽弁の状態も、かなり正確に把握することができます。弁が薄くなっているのか、厚くなっているのか、弁そのものは機能しているのかなどのチェックを行います。
 
合わせて心臓と血管の状態や、血流の方向や速さなどを計測することもできます。
超音波検査の優れた点のひとつに、動物のからだに負担をかけないことがあげられます。検査の仕方は、器具を当てる部分の被毛を少し剃り、ジェルを塗って、器具を当てていくだけです。麻酔不要ですし、痛みも危険性もありません。器具を当てる角度によって、からだ内部を詳細にみることのできる優秀な検査装置です。
 
私のセンターでは、心臓検査の専用機器を設置しています。皮膚から目標物までの距離を測る機能や、リアルタイム4Dエコーといって、3Dの画像で心臓内の動きをリアルタイムでみることができる機能があり、より正確な診断を行うことができます。
 
ただ、超音波には弱点があります。骨や気体は超音波を反射してしまうため、骨に囲まれた臓器や脳、空気を含んでいる肺、脂肪の裏側にある臓器などをみることは困難です。そういった場所を細かくみるために、経食道エコーという機械も用意してあります。こちらであれば臓器にガスがたまっていても、脂肪の多い検査対象でも正確に診断することができます。
 
人間ドックなどで超音波の検査をされた経験のある方も多いと思いますが、経験している方ほど、検査が手軽で簡単にできると思われている節があるようです。ところがエコーというのは、実に奥が深く繊細な検査なのです。ほんの少し機器を当てる角度が違ったら、診断したい部分をみることはできません。一度は「ここだ」という場所をみつけても、もう一度その場所に当てるには、熟練した高い技術が必要になります。まして検査をする対象が人間ではないわけですから、こちらの言葉の指示に従ってはくれませんし、じっとしていてもくれません。
 
獣医師の中にも超音波検査が得意な人と苦手な人がいるのも事実です。 

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心電図で不整脈の記録をとる
超音波検査とともに、心臓病の検査として行われるのが心電図の検査です。
 
心臓がドクンドクンと動く時には、とても弱い活動電流が発生しています。その電気の流れの変化を波形として記録して、心臓の様子を読み取る検査が心電図です。不整脈はもちろん、心臓のどこに負担がかかっているのかを検出することができます。
 
人間の心電図検査と同様に、からだに電極をつけて電気を測定します。
 
通常は動物病院で行いますが、何度か失神や、パタンと倒れた経験がある場合は、その原因を探るために長時間の検査を行う必要がでてきます。
 
ホルター心電図検査と呼ばれる方法で、ポータブルの小さな装置を専用の洋服のポケットに入れて3日間自宅で過ごしていただきます。その間の心電図を継時的に記録し解析することで、失神したまさにその瞬間に不整脈があるかなどをチェックします。 

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血液検査でも心臓の状態をチェック
僧帽弁の状態を把握するためというより、僧帽弁以外に悪くなっている場所はないか、今まで服用してきた薬で副作用が起きていないかなど、全身の状態を把握するためには血液検査が必要になります。健康診断でも行われるような検査項目では、貧血、肝臓、腎臓に関するチェックや、脱水の状態などを調べることができます。それらに加えて、心臓病に特化した特殊な検査項目を追加して行います。
 
例えば、心臓の中でも特に心室に負担がかった時に、心臓から血液に分泌されるホルモンを「BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)」と呼ぶのですが、このBNPの数値を調べることで、心室にかかっている負担を予想することができます。この数値が高いと心不全を疑います。
 
ANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)というホルモンは、心房が薄く伸びている時に放出されるホルモンです。「僧帽弁閉鎖不全症」ではこの値が高くなることが非常に多くみられます。
 
さらに、血液の固まりやすさを評価する血液凝固系検査も行います。今まで服用していた薬によっては、血液が固まりにくくなっている場合があります。治療方針を決めるために重要な検査です。

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行動③ 診断の根拠と治療方針を獣医師に仰ぐ
こうした検査を経て、「僧帽弁閉鎖不全症」と診断されたら、まずはその獣医師とよく話し合ってください。どの検査でどのような値が出たのか、病気の進行はどの程度だと予想されるのか、今後の治療方針についてなど、納得がいくまでお話を聞いてください。
 
日本には優秀な獣医師がたくさんいます。ある意味、人間をみる医師より、獣医師は知識も技術も豊富に求められます。犬猫限定の動物病院であったとしても、犬種や猫種によってからだの特徴やかかりやすい病気、からだの大きさが異なります。まして、は虫類や鳥などもみている獣医師であれば、その知識は限りなく膨大でしょう。
 
また、人間の病院は「内科」「整形外科」「産婦人科」「小児科」「歯科」などカテゴリー分けされています。しかし動物病院の場合、そのほとんどがどんな病気にもケガにも対応しなければなりません。内科的判断、外科処置、手術、麻酔、薬剤管理まで、すべてをひとりの獣医師が行うわけですから、手前味噌ですけれど、ほとんどの獣医師は優秀ですし努力も怠っていないと思います。
 
きっと、みなさんが普段お世話になっているかかりつけの獣医師も、さまざまな病気をみている優秀なドクターだと思います。「僧帽弁閉鎖不全症」という困難な病気にも真剣に向き合ってくれるはずです。だからこそ遠慮しないで、疑問に思うこと、不安に感じていることは言葉にしてぶつけていいと、私は思います。
 
ただ、これは一般的にという意味ですが、飼い主の愛犬に対する愛情が深ければ深いほど、獣医師にとって病気の告知や治療方針をお話しするのは慎重になる傾向があります。
 
「助けられる」のか「助けられない」のかを、獣医師も悩むケースがあるからです。もし、獣医師が言葉を濁そうとしたり、検査をほとんどせずに「様子をみましょう」というセンテンスを使ったりした時は、遠慮なく「きちんと検査をして、はっきりした病状を教えてください」と伝えるべきです。一刻も早く、適切な治療を行うためにも、どうぞかかりつけの獣医師を信頼して、お話をしてみてください。

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行動④ 治療の選択肢を広げるために、治療法を勉強する
病名がはっきり告知されると、次は治療方針を決めなければいけません。かかりつけの動物病院では、どのような治療を提示してくれましたか?
 
「僧帽弁閉鎖不全症」の治療でもっともポピュラーなのが投薬治療です。心臓の肥大を抑える薬や、不整脈を改善する薬などを使い、症状を緩和することを第一に考えた治療です。
 
もうひとつが外科的手術です。もろくなり機能が低下している僧帽弁を成形、縫合し、正常な動きができるようにする手術になります。
 
投薬治療では僧帽弁の修復はできません。しかしメスを入れることはありません。
 
手術はうまくいけば、もとの健康なからだを取り戻すことができます。しかし、絶対にリスクがないとは言い切れません。
 
犬の年齢、病気の進行具合、ご家族の状況など、十分に考慮したうえで、飼い主と病気を抱えた愛犬にとって最適な治療方法を選択していただくことになります。
 
しかし治療方法を選択するためには、治療について飼い主もある程度の知識を得る必要があります。投薬と手術のメリット・デメリットについては、3章で詳しく解説していきます。じっくりお読みになり、賢い飼い主になっていただきたいと思います。

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行動⑤ かかりつけ医? それとも二次診療? 獣医師を選ぶ
すでに述べたように「僧帽弁閉鎖不全症」の治療には、大きく分けて「投薬」と「手術」というふたつの選択肢があります。
獣医師側には治療の選択肢を制限する権利はありません。
 
ですから、次のようなことはあってはならないことなのですが、万が一、
「お薬で様子をみていくしかありません」
と動物病院で説明を受けたとしたら、決して鵜呑みにしないでください。
「投薬以外にも方法はありませんか?」
と、必ず聞き返してみてください。
 
あるいは、
「手術という方法はあるけれど、料金が高く、行える施設もほとんど存在しません」
といった説明をされることがないとも限りません。
もし、そのようなお話があった時にも、「わかりました」と簡単に引き下がってしまうのは、飼い主にとって望ましいことではないと私は考えています。
 
というのも、言われるがまま投薬治療を選んで、後々、後悔された飼い主を私は何人も知っているからです。肺水腫や心不全でもがくように苦しみ、命を落としてしまう愛犬を目の当たりにした時に、なぜ治療方法をもっと検討しなかったのだろうと、飼い主はご自身を責めます。そこからペットロス症候群になる方もいます。こうした事実は本当に残念でなりません。
 
かかりつけの動物病院に循環器の専門知識をもっている獣医師がいて、心臓病の検査や手術が的確に行えるのであれば、前向きに治療方針を相談できるので安心できます。
 
もし、かかりつけの動物病院が循環器の専門でない場合は、二次診療施設を紹介されるかもしれません。ここでひとつ注意してほしいのですが、紹介された二次診療施設は心臓病に対して、どのような治療方針をもっているのか、かかりつけの動物病院では教えてくれたでしょうか。
 
結局、投薬治療以外すすめない獣医師であれば、治療を選択することはできなくなります。かかりつけ医に二次診療施設のことを詳しく聞くのがはばかられるようでしたら、紹介状を書いていただくのを待ってもらい、一度家に帰ってご自身で紹介先のことを調べてみてください。今はホームページでも、治療方針について記載している施設が多くなっています。
調べた結果、治療の選択ができることがわかれば、安心して紹介状を書いていただけばよいと思います。
どの施設で、どのような治療を受けるか。この部分を飼い主が納得して選択されれば、アクシデントがあった時にも前向きにとらえることができるはずなのです。


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