腎泌尿器科の主な検査方法
血液検査
一般的には、尿素窒素やクレアチニンなどの腎臓に関わる数値の異常が認められます。 他にはリンやカルシウムの異常が見られることもあります。慢性腎臓病の場合は貧血がみられることもあり、赤血球産生に重要なホルモンであるエリスロポエチンの低下が見られることがあります。結石などにより正常な尿の流れに異常が認められるような場合、例えば排尿困難など、尿素窒素やクレアチニンは高値を示すことがあります。また、腎数値だけでなくカリウムの上昇が認められる場合、心停止などを引き起こすリスクが高く緊急性を要します。
尿検査
尿は腎臓で作られ、膀胱に貯留され、体外に排出されます。その尿を詳細に検査することは、腎臓や膀胱などの腎泌尿器の異常を鑑別するうえで重要です。ただし、外部からのさまざまな影響を受ける可能性があるため、慎重に評価する必要があります。また、一時的な変化の場合もあるため、必要に応じて繰り返し検査を実施する必要があります。
X線検査(造影X線検査含む)
腎臓や膀胱の大きさや形、尿路結石の評価のためにはX検査が必要です。しかし、他の臓器との位置関係や脂肪量により詳細に腎臓や膀胱の形態を評価しにくいことがあります。
結石の種類によってはX線検査で映らないものもあるため、X線検査だけでは見落としてしまうリスクがあります。造影X線検査を実施することで、結石の有無を評価できる場合もあります。
尿道は骨盤内を通っているため、X線検査だけでなく造影X線検査を実施すると、尿道壁の構造を評価することができ、尿道腫瘍などの検出も可能となります。
超音波検査
腎泌尿器の詳細な評価を行うためには超音波検査が必須です。泌尿器疾患は排尿の症状が出ることが多く、腎疾患では症状がわかりづらいため、無症状でも画像検査が重要なことがあります。基本的に無麻酔で実施可能であり、低侵襲で腎泌尿器を詳細に評価することができます。X線検査ではわかりづらい結石の検出や腎臓内部の詳細な構造の検出に優れています。腫瘍が認められた場合、超音波を見ながら検体の採取を実施することもあります。
CT検査
X線検査や超音波検査で評価できない尿路結石や腫瘍の周囲への浸潤や転移を評価するためには、CT検査が必要です。基本的に全身麻酔が必要な検査ではありますが、短時間で実施が可能であるため比較的侵襲性は低く有効な検査であると言えます。
膀胱鏡検査
X線検査や超音波検査などで評価困難な膀胱内や尿道内の病変に対して、膀胱鏡検査を実施することがあります。膀胱鏡の大きなメリットは、膀胱や尿道内部の評価だけでなく病理組織学検査が可能な点です。デメリットとしては、基本的に全身麻酔が必要な検査であり、カメラが小さいため小さい検体しか採取することができないことです。