動脈管開存症

動脈管開存症とは

犬の先天性心血管奇形でもっとも多くみられる病気です。動脈管とは子犬が母犬のお腹の中にいる間、肺動脈から大動脈への抜け道になっていた血管のことをいいます。生後、肺で呼吸をし始めるとこの抜け道は必要なくなり、自然に閉じるのが普通です。この動脈管が閉じることなく残っているものを動脈管開存症と呼びます。全身に流れるべき血液の一部が大動脈から肺動脈へ流れるため、肺や心臓に負担がかかります。動脈管が広くあいているほど流れる血液の量が多くなり、症状が重くなります。先天的にかかりやすい犬種には、シェルティー(正式名称:シェットランド・シープドッグ)、ウェルシュ・コーギー・ペンブローク、トイ・プードル、ヨークシャー・テリアなどがあります。

動脈管開存症の症状

動脈管が太くない場合は、症状も軽度で、ある程度の年齢になるまで気づかれずに過ごすこともあります。しかし重度の場合には幼いうちに「咳」や「呼吸困難」の他に「食欲低下」「動きたがらない」などがみられ、場合によっては成長が妨げられ大きくなれないこともあります。

動脈管開存症の治療方法

内科的治療は対症療法になります。症状が出てしまっている場合は、手術せずにいると心拡大や肺高血圧が悪化し、多くは心不全となってしまいます。早い段階で動脈管を縛って閉鎖する手術が必要とされます。