徐脈性不整脈

徐脈性不整脈とは

心臓の洞結節が正常に機能して心臓が60~140回の拍動が規則的である状態を「正常洞調律」といいます。この正常洞調律の範囲を超えて脈が遅くなる(1分間に60回以下)タイプの不整脈が「徐脈性不整脈」です。徐脈性不整脈はさらに以下のように分けることができます。

・規則的で遅い脈となる「洞性徐脈」
・一時的あるいは持続的に洞結節から電気信号が発生しなくなる「洞停止」
・洞結節で正常に電気信号が発生しているのに心房に伝わらない「洞房ブロック」
・洞結節からの電気信号が心房までは伝わるが心室まで伝わらない「房室ブロック」

洞性徐脈

徐脈性不整脈の中でも洞性徐脈は洞結節自体に異常はなく、一時的または無害であるケースが多いため、特に治療の必要のないケースが殆どです。犬では洞性不整脈も合わせて見られることがあります。

洞停止・洞房ブロック

洞停止ならびに洞房ブロックは、殆どの場合、高齢の子に起こることが多いです。症状の進行により長時間の心停止をまねき、失神・突然死の原因となります。治療のためにペースメーカーの植込みが必要となる場合もあります。

房室ブロック

房室ブロックとは、心房まで伝わった心臓収縮のための正常な電気刺激が心室にうまく伝わらず、全身に血液を送る心室のリズムが遅くなったり、停止したりする状態です。

房室ブロックはその重症度によって、Ⅰ度、Ⅱ度、Ⅲ度房室ブロッックに分けられます。

Ⅰ度・Ⅱ度房室ブロックは、電気刺激が伝わるのに時間がかかったり、時折うまく伝わらない状態であるのに対し、Ⅲ度房室ブロック(完全房室ブロック)は電気刺激が全く伝わらない状態であり、めまい、失神、息切れ、疲労感を伴います。

Ⅲ度房室ブロックは失神や突然死につながる恐れがあり、ペースメーカー植込みによる治療が必要となります(Ⅱ度房室ブロックでもペースメーカー植込みが必要となる場合があります)。