心タンポナーゼ
心タンポナーゼとは
犬猫をはじめとする動物たちの心臓も人間同様、全身へ血液を送り出すポンプとしての働きを担っています。通常は心膜(しんまく)という2枚の薄い膜に包まれており、この膜の間のスペースは、「心のう」または「心膜腔(しんまくくう)」と呼ばれ、その中は「心のう液」と呼ばれる液体で満たされています。
心のう液には、心臓が摩擦なくスムーズに収縮と拡張を繰り返すことができるように「潤滑油」としての役割があります。ほかにも心のう液で包まれていることで、心臓を外部からの衝撃から守り、周囲のウイルスや細菌などの病原菌が直接心筋に悪影響をもたらすことを防いでいます。
心タンポナーデとは、何らかの原因で心のう液が大量に、あるいは急速に増加して貯留してしまったために、心のう内圧が上昇し、心臓が十分に拡張することができない状態、言い換えれば心臓が周囲の液体(心のう液)で押さえ込まれたような状態を指します。
その結果、心臓はポンプとして機能できなくなり、急速にショック状態(血圧が低下するために循環不全や意識障害を引き起こすこと)となる、緊急を要する疾患です。進行すると急速に死に至ります。
対処方法
心臓に針を刺して、水を抜かな無ければ死亡してしまいます。心臓の入っている袋に針を刺すため、高度な技術が要求されます。
症状
呼吸困難や失神、運動不耐性、腹水、胸水など
原因
主に下記が考えられます。
・心臓の腫瘍
・慢性の弁膜症の悪化
・外傷による心臓からの出血
また、原因がわからない「特発性」というものもあります。