消化器科の主な検査方法
血液検査
肝胆道系疾患では、肝酵素値の異常やビリルビンの上昇、コレステロールの変化が多く見られます。また、肝機能に関連する数値にも変化が見られることがあり、必要に応じて総胆汁酸や分岐鎖アミノ酸/チロシン比などの肝機能検査を実施します。
膵臓に異常が見られた場合、膵酵素や炎症マーカーの上昇が認められることがあり、ホルモン測定により膵臓腫瘍の鑑別を行うこともあります。
胃腸の疾患では、血液検査上の異常が見られることは少ないですが、重度になると胃腸で吸収される蛋白質の低下などが見られることがあります。
糞便検査
下痢をしている場合、糞便にその原因(細菌や寄生虫、真菌)が現れてくることがあり、糞便検査でその原因を鑑別できる場合があります。一回の検査では検出できず、繰り返しの検査が必要となる場合もあります。また、一部の病原体に関しては、糞便内の遺伝子を調べて診断することも可能です。
X線検査(造影X線検査含む)
X線検査は一般的に実施される腹部の検査の一つです。腹部臓器の大きさや形、位置の変化などを客観的に評価することができます。ただし、他の臓器との位置関係や脂肪の有無により、詳細に評価できないこともあります。
造影X線検査はバリウムなどの造影剤を用いた検査であり、消化管の流れや走行、位置の変化を調べたり、異物による閉塞が存在しないか評価することができます。 血管内に投与可能な造影剤を用いることで血管造影検査が可能であり、手術中に実施し門脈体循環シャントの鑑別や肝臓内の血管を評価することができます。
超音波検査
腹部の精査には欠かせない検査の一つで、無麻酔で腹部臓器の詳細な評価が可能となり、低侵襲で有用な検査です。超音波検査だけで診断可能な場合もあり、超音波検査を見ながら細胞の採取などを実施し診断をすることができます。
消化器疾患は、重度の異常がないと症状が現れにくく、どの疾患でも症状が似ているため、鑑別を目的とする超音波検査は重要です。
CT検査
CT検査は全身麻酔が必要な検査ではありますが、X線検査や超音波検査ではわからない部分やわかりづらい部分を詳細に短時間で評価することが可能な検査です。
造影CT検査や多時相検査を実施することにより、造影剤の流れ込み具合や位置関係をより詳細に評価することができ、転移の有無の評価が可能となり、手術計画を立てるためにも必要な検査となります。
内視鏡検査
胃腸内部を詳細に評価するためには、内視鏡検査の実施が必要です。内視鏡検査のメリットは、内部の詳細な観察だけでなく、異物摘出やポリープ切除などの治療が実施することができ、また病理検査を実施するための検体を採取することも可能なことです。デメリットとしては、全ての胃腸を評価することは困難であり、特に小腸の大部分は評価することはできません。しかし、消化器の病態評価のためには重要な検査であり、腸炎と腫瘍の鑑別のためには必要な検査です。