心疾患・不整脈の精査

心雑音の精査・心疾患の確定診断および治療方針の決定

心疾患の確定診断は、身体検査とレントゲン検査のみでは困難であることがほとんどであり、初診時には心臓超音波検査も必須となります。また、心雑音は一般的に先天性心血管異常、弁膜症や心筋症などの心疾患に関連して聴取されますが、心臓に器質的異常がなくとも無害性雑音や貧血時などに聴取されることもあります。心疾患を特定しにくい場合や心雑音の原因が明らかにならない場合に、循環器に関する精査を実施することが可能です。

心原性を疑う臨床症状の原因精査

発咳、ふらつき、チアノーゼ、失神、呼吸困難などの臨床症状は、循環器疾患に起因している可能性も考えられます。犬では僧帽弁閉鎖不全症、猫では心筋疾患に起因した心不全による呼吸困難、犬の僧帽弁閉鎖不全症と気管気管支疾患の合併による発咳は一般的ですが、先天性心疾患や不整脈により症状を呈していることもあります。

心電図異常・不整脈の診断

聴診上リズムの異常はなくとも、QRS波形が幅広いなど心電図波形が異常を呈することもあります。洞房結節、房室結節、房室ブロックや脚ブロックなどの刺激伝導系の異常、電解質異常、徐脈による補充調律の出現、薬物に対する副反応など原因は様々です。麻酔時に心電図モニターを行った際に見つかり、診断治療が必要になることもあります。致死的な異常調律であることもあるため、正確な診断が必要となります。

不整脈は聴診時のリズム異常から診断に至ることが多いですが、飼主による失神、ふらつきなどの重大な臨床徴候の訴えにより検査後診断されることもあります。不整脈の診断は来院時の心電図検査のみでは困難なことも多く、ホルター心電図検査など長時間の心電図記録が必要になることもあります。

また、不整脈の原因は心臓の異常により発生すると思われがちですが、腫瘍性疾患、呼吸器疾患、電解質異常、外傷、ストレスなども不整脈の原因となるため、全身的な検査が必要です。

治療の必要性のない心電図異常・不整脈もありますが、抗不整脈薬による治療、原因疾患の除去、ペースメーカ治療などが必要になる場合もあります。