内科の主な病気
急性・慢性腸炎
食事の変更や不適切な食事、そして感染症などさまざまな原因で急性の嘔吐・下痢を呈することは少なくありません。
また犬や猫では明らかな原因が特定できない慢性(胃)腸炎も少なくなく、食事反応性腸炎(症)や、ステロイド薬などが必要な免疫抑制薬反応性腸炎(症)が含まれます。
リンパ腫などとの鑑別のために内視鏡検査も必要となります。蛋白漏出性腸症では血液中のアルブミンが低下して腹水、浮腫などが生じることもあり、より丁寧な治療管理が必要となります。
肝炎・胆管炎
中毒性物質などによる急性肝炎では急性肝不全の病態をとることがあり注意が必要です。
犬では食事中の銅が蓄積する慢性肝炎もみられますが、銅が関連しない慢性肝炎も多く、適切な診断が必要です。
猫では胆管炎が多く、急性・慢性の両方がありますが、胆管閉塞に関連する慢性胆管炎やリンパ腫との鑑別が問題になる場合があります。
胆嚢炎・胆嚢粘液嚢腫
胆嚢炎や粘液嚢腫は一般的には超音波所見で判断します。
胆嚢粘液嚢腫では胆嚢破裂前に摘出することが推奨されており、胆嚢炎でも抗菌薬に対する反応が悪い場合には摘出を検討します。
内科的治療か外科的治療かの判断が重要となり、外科とも連携して治療にあたります。
原因不明の肝酵素上昇
一次診療では、健康診断やスクリーニング検査で原因不明の肝酵素が上昇している機会が多くあります。
症状を伴わないことも多いですが、慢性的に上昇が続く場合には、判断に苦慮します。
空胞性肝障害や血管異形成、結節性過形成など、大きな問題にならないものから、PSSや腫瘍が隠れているもの、慢性肝炎のように徐々に進行するものがあり、慎重な鑑別が必要となります。
膵炎・膵臓腫瘍
特に犬の膵炎では、未だに致死率が低くないため注意が必要ですが、その診断は必ずしも容易ではなく、膵リパーゼが上昇しているものの膵炎ではない犬も多数存在します。
重症の膵炎では集中治療が必要となることもあります。膵臓腫瘍は決して多くありませんが、インスリノーマをはじめ特殊な病態をとることがあるために注意が必要です。
猫の膵炎では慢性腸炎や胆管炎と同時に起こることが多く、総合的な判断が必要となります。
膀胱炎・膀胱腫瘍
中膀胱炎は一般的には細菌感染によって発生しますが、時として細菌感染が原因ではない膀胱炎(特発性)や、再発性の細菌感染を起こしやすい疾患が潜んでいる場合もあります。
膀胱結石や膀胱腫瘍が関連していることもあり、腫瘍科および外科と連携が必要となることもあります。
尿道・尿管結石
膀胱内の結石が雄の尿道に移動して閉塞した場合には、排尿困難や水腎症、急性腎障害となることがあります。
初期対応としてはカテーテルを用いて閉塞を解除しますが、解除できない場合には外科的対応が必要です。
尿管結石は片方で発生することも多く、発見が遅れることもありますが、治療としては外科的処置が必要となることが多い疾患です。
腎炎
糸球体腎炎などは免疫介在性疾患の一つとしてみられることがありますが、激しい症状が出ないことが多く、見逃されていることも多いと言われています。
低アルブミン血症の原因の一つでもあり、進行すると多飲多尿、浮腫などの症状がでることがあります。
肺炎
肺炎は、細菌、誤嚥、真菌などさまざまな原因によって肺に炎症が生じる疾患です。
犬では誤嚥性肺炎が比較的多く、猫では重症化しやすい傾向があります。
診断には胸部X線検査やCT検査に加えて、必要に応じて気管支鏡検査や気管支肺胞洗浄(BAL)を行い、原因菌の特定や炎症の評価を行います。
治療は原因に応じた抗菌薬や支持療法が中心となり、重症例では入院管理が必要となります。
慢性気管支炎
慢性気管支炎は、気管支に慢性的な炎症が生じることで咳が長期間続く疾患です。
犬では慢性気管支炎、猫では猫下部気道疾患として認められることが多く、環境因子やアレルギーが関与することがあります。
診断には胸部X線検査やCT検査に加えて、気管支鏡検査やBALによる細胞診が有用です。
治療はステロイド薬を中心とした抗炎症療法や気管支拡張薬の使用、吸入療法などを組み合わせて長期的に管理します。
副腎皮質機能亢進症/低下症
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)は、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)が過剰に分泌されることで生じる疾患で、犬で比較的多く認められます。原因は下垂体性と副腎性に分類されます。
逆に副腎皮質機能低下症(アジソン病)は、副腎から分泌されるホルモンが不足することで生じる疾患で、症状が非特異的で、消化器疾患と区別が難しいことがあります。
診断には血液検査や内分泌検査、腹部超音波検査を組み合わせて行います。治療は主に薬物療法が行われますが、合併症の治療が必要になることもあります。
甲状腺機能低下症/亢進症
甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの分泌が低下することで代謝が低下する疾患で、主に犬で認められます。
症状は元気消失、体重増加、脱毛などがみられますが、非特異的な症状のために見逃されることもあります。
診断には血中T4やTSH測定を行いますが、他の疾患による影響(Euthyroid sick syndrome)との鑑別が極めて重要です。
治療は甲状腺ホルモンの補充療法で、多くの症例で良好な反応が得られます。
甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで主に猫で認められます。体重減少、食欲増加、活動性の亢進、肝酵素上昇などがみられます。
診断は血中T4測定を中心に行い、治療は抗甲状腺薬による内科治療が一般的ですが、甲状腺摘出術が行われることもあります。
不明熱・免疫介在性疾患
犬では免疫介在性疾患で不明熱になることが多く、中でも特発性多発性関節炎が最も多いと言われています。
関節穿刺による関節液検査を行うことで容易に診断可能ですが、免疫介在性血球減少症や糸球体腎炎、皮膚炎などが併発することが多くあります。
猫では猫伝染性腹膜炎やリンパ腫などの疾患が不明熱の原因になりやすいと言われています。免疫介在性血球減少症が単独で起きることもあります。